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経営改善計画書の書き方は?金融機関に評価されるためのポイントも解説!

2023.06.01

経営改善計画書タイトル

経営者として、事業の改善や成長を目指す際に経営改善計画書は重要なツールです。経営改善計画書は、現状の分析、改善の目標設定、それに向けた具体的なアクションプランを明記することで、経営のビジョンと方向性を示すものです。

また、金融機関への融資申請時にも評価材料となります。このコラムでは経営改善計画書の書き方と、金融機関に評価されるポイントについて解説します。

経営改善計画書とは?

経営改善計画書1

経営改善計画書は、事業の経営状況を改善するための具体的な方針や戦略を明記した文書です。財務状況の改善策、売上向上策、コスト削減策などの計画を含む他、それらを達成するための手段や期間、目標数値も記載した資料です。

理想的な計画書は、現実的な目標設定と具体的な実行計画に基づいて作成されており、それがビジネスの成功につながります。

経営者は、この計画書によりビジネスの方向性を明確化し、結果として金融機関などステークホルダーへの信頼回復などに活用しています。ここでは、経営改善計画書について解説します。

CONTENTS

  • 1. 経営改善計画書は、事業計画書のひとつ
  • 2. 経営改善計画書のひとつの目的は、融資返済時期のリスケジュール

経営改善計画書は、事業計画書のひとつ

経営改善計画書は、事業計画書の一種です。具体的な目標設定、戦略策定、そしてアクションプランの展開が記載されます。一般的な事業計画書が企業の将来ビジョンや成長戦略を描くのに対して、経営改善計画書は既存の経営課題や問題を明らかにし、その解決に向けた具体的な行動計画を策定します。

経営改善計画書は、単に融資の手続きをするだけではなく、企業の持続的な発展と改善を目指すための重要なドキュメントです。経営改善計画書を作成することで、経営者は企業の現状を客観的に把握し、今後何をすべきか明確にできます。

さらに、それは組織全体に改善の意識を高め、同じ目標に向かって進むための共通理解を生む役割も果たします。

経営改善計画書のひとつの目的は、融資返済時期のリスケジュール

経営改善計画書のひとつの重要な目的は、融資返済のリスケジュール(再調整)です。リスケジュールとは、企業が現在の財務状況や返済能力に見合った返済条件やスケジュールを再調整することを指します。企業が経営難に直面した場合、返済条件や期間を再調整することで、企業の負担を軽減し、事業の再生を図ることが可能になります。

その際に、具体的な経営改善の方針や計画を金融機関に示すのが経営改善計画書です。経営改善計画書を作成し、金融機関に提出することで、返済計画の再調整や財務改善のための支援を受けることを目指します。これは企業にとって、新たなスタートを切る一助となる重要なプロセスです。

経営改善計画書の種類

経営改善計画書2

経営改善計画書には主に3つの種類があります。短期(1年)、中期(3~5年)、長期(5~10年)の経営改善計画書です。これらは、それぞれの期間でのビジョン、目標、そして行動計画を明確にしたものです。

短期は即時的な課題対策、中期は戦略的な改善、長期はビジョンの実現に向けた経営改善が記載されます。以下に詳しく解説していきます。

CONTENTS

  • 1. 短期(1年)の経営改善計画書
  • 2. 中期(3~5年)の経営改善計画書
  • 3. 長期(5~10年)の経営改善計画書

短期(1年)の経営改善計画書

短期の経営改善計画書は、資金繰りが悪化し、新規の借入が困難になった場合などにとくに重要となる計画書です。この計画書には、1年間の具体的な行動計画が明示され、経営の改善に向けた具体的な戦略と目標が定めます。

また、資金繰り改善のための対策も具体的に示され、その達成に向けたプロセスも記述します。

中期(3~5年)の経営改善計画書

中期(3~5年)の経営改善計画書は、将来の成長や持続可能な改善に焦点を当てた計画書です。ここでは、企業の経営方針や事業戦略の見直し、市場の変化や競争環境の分析、収益構造の改善、人材育成など、より広範で長期的な視点からの目標や戦略が策定されます。

この段階では、企業が目指すべき方向性を明確にするとともに、そのために必要な経営資源や能力を見極め、整備することが重要です。また、業界のトレンドや競争環境を理解し、企業の強みを最大限に活用しながら、成長のための新たな機会を探し出すことも求められます。

中期の経営改善計画書は、企業の現状から目指すべき未来へと橋渡しをする重要なツールです。短期的な問題解決から一歩進んで、戦略的な経営改善に取り組むための基盤を形成します。

長期(5~10年)の経営改善計画書

長期(5~10年)の経営改善計画書は、中長期の展望に基づいた経営方針やビジョンの策定を行う重要な計画書です。組織の成長戦略を描き、事業の拡大や新規事業の展開、そして持続可能な競争力の維持を視野に入れたものです。長期的な計画書では、市場予測や投資計画、リスクマネジメントといった要素が重要となります。

それぞれの要素は互いに連動し、企業の未来像を具体的に描き出すための基盤を形成します。ステークホルダーからの信頼を獲得し、企業のビジョンを共有することは、長期的な成功に向けた道筋を示す役割も果たすのです。

このような長期的な視点による計画書は、企業の将来性を評価する際の基準となるため、重要な資料といえるでしょう。

経営改善計画書の書き方|記載する項目とは

経営改善計画書3

経営改善計画書を書く際には、明確に記載すべき項目があります。記載すべき項目は、計画書の骨格をなし、企業の現状と目指すべき未来を明確に示すためのものです。以下に記載する項目を紹介していきます。

CONTENTS

  • 1. 経営理念
  • 2. 現状分析
  • 3. 課題・問題提示
  • 4. 具体的な解決策
  • 5. 行動計画
  • 6. 収支計画
  • 7. 利益計画
  • 8. 資金計画・資金繰り表

経営理念

経営理念は、企業が追求する目標や価値、社会的な役割を明確に表現したものです。企業のビジョンや価値観、そして目指す方向性を示す重要な指針となります。経営理念は経営改善計画書の根幹を成し、その他のすべての計画や戦略がこれに基づいて策定されます。

明確で、説得力のある経営理念は、内部のスタッフから外部のステークホルダーまで、すべての人々に対して企業の目的と方向性を伝え、その企業への信頼を深める役割を果たすでしょう。経営理念を設定する際には、企業の独自性や競争優位性を強調し、同時に持続可能で社会貢献性のあるビジョンを描くことが大切です。

現状分析

現状分析とは、現在の企業の経営状況、業界の市場動向、競合状況などを客観的に理解し、評価することです。企業が直面している課題や機会、そしてそれらにどのように対処するべきかを明確に把握することが可能となります。

具体的には、SWOT分析(Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の分析)を用いて、企業の内部要因(強みと弱み)と外部要因(機会と脅威)を明確にします。

この結果をもとに、企業がどのような経営改善策を立てるべきか、その方向性を見つけることが可能です。

課題・問題提示

課題・問題提示は、経営改善計画書において重要な項目のひとつです。ここでは、先の現状分析から洗い出された具体的な課題や問題点を列挙します。

そして、それらの問題に対して、解決が急務であるものから優先順位をつけることが必要です。企業が直面している課題は、内部的なもの(たとえば、財務状況の悪化や人材不足など)だけでなく、外部的なもの(市場の変化や新たな競合の出現など)も含まれます。

これらの課題を明確にし、それぞれに対する改善策を検討することが、効果的な経営改善計画を策定するための基礎となります。また、課題や問題を具体的に提示することで、社内のメンバーにもその状況が理解され、全員が一致団結して課題解決に向けて取り組むことが可能となるでしょう。

具体的な解決策

具体的な解決策の提案は、経営改善計画書の核心部分です。前述の課題・問題提示で洗い出した問題点に対し、どのような対策を打つのか、どのような改善策を導入するのかを具体的かつ明確に記載します。

たとえば、「人材不足を解消するために採用活動を行う」という解決策を提案した場合、具体的にどのような採用活動を行うのか、そのスケジュールや必要なリソース、目指す採用人数などを明記します。

これにより、解決策が具体的で現実的なものであることを示すとともに、それを達成するための行動計画も明確にすることが可能です。

行動計画

行動計画は、提案された改善策を実際に達成するための具体的なロードマップです。各改善策を具現化するためのスケジュール、責任者、そして関係者の役割分担を明確にします。

行動計画は、課題の解決策を具体的かつ現実的なアクションに落とし込むための重要なステップです。また、関係者間での役割分担を明記することで、組織全体として一体感を持って課題解決に向けて取り組むことが可能になります。

収支計画

収支計画は、企業の財務健全性を維持し、目標達成に向けて資源を最適に配分するための重要なものです。売上予測、費用予測、そしてそれらに基づく収支の見通しを詳細に示すことが含まれます。

売上予測では、事業戦略や市場動向に基づいた具体的な売上目標を設定することが一般的です。一方、費用予測では、人件費、生産費、営業費など、事業運営に必要なすべての費用を予測し、それに対する合理化や効率化の方策を考えます。

これらの予測に基づき、収支の見通しを明示することで、経営者や関係者は、企業の財務状況を理解し、適切な意思決定を行えるのです。また、具体的な数値目標を設定することで、企業の成長や改善の方向性を明確に示すことが可能となります。

利益計画

利益計画は、企業が採るべき財務戦略や実施すべき具体的な施策を明示する重要な部分です。この部分では、利益率の向上や収益増加のための戦略を詳細に描き出し、その達成に向けた具体的な行動プランを策定します。

具体的には、製品やサービスの価格設定、生産効率の向上、販売戦略の最適化、コスト削減の取り組み、新規事業の開拓など、収益増加や利益向上につながる各種の施策を明確にします。

組織全体で一致した利益向上のビジョンを共有し、目指すべき財務目標に向けた取り組みを明確にすることが可能です。経営改善計画書のなかでもとくに重要な部分であり、経営の方向性を示す役割も果たします。

資金計画・資金繰り表

資金計画・資金繰り表は、企業が必要とする資金の規模やタイミング、資金調達の方法を詳細に示したものです。運転資金の需要や投資資金の需要、借入返済などのキャッシュフロー予測が含まれます。

また、資金調達の具体的な計画も明記され、自己資本や借入金、資本市場からの調達など、どのようにして資金を得るかが示されます。さらに、予想される資金繰りの状況を見越した対策もあわせて記述することが大切です。

これらの情報は、企業の資金管理を適切に行うために不可欠であり、資金繰りの問題が生じた場合に迅速に対応するための重要な指針となります。金融機関からの融資を受ける際にも、具体的な資金計画と資金繰り表は重要な判断基準となるため、丁寧に作成することが求められます。

経営改善計画書を書く際に認識しておくべき注意点

経営改善計画書4

経営改善計画書を書く際には、現状の分析、目標の明確さ、実行可能なアクションプランの策定、各ステークホルダーへの説明の容易さなど、幾つかの重要な点を認識しておく必要があります。

ここでは、これらの注意点を詳しく解説します。

CONTENTS

  • 1. 返済計画のリスケジュールが目的
  • 2. 既存の事業形態の見直しが最優先事項
  • 3. 銀行からの新規融資などが難しくなる

返済計画のリスケジュールが目的

経営改善計画書の作成は、企業が返済計画のリスケジュールや財務改善を目指す過程であり、その目的を見失ってはなりません。金融機関に提出する際には、返済能力の強化や財務状況の改善を通じて、企業が安定した経営を達成できる道筋を示すことが求められます。

その結果、金融機関は経営改善計画書をもとに、企業の信用力と回復力を評価することが可能となります。したがって、経営改善計画書は現実的で実行可能な改善策を具体的に提示する重要なツールであると認識することが重要です。

既存の事業形態の見直しが最優先事項

経営改善計画書作成時の最優先事項は、既存の事業形態の見直しです。これは、企業の競争力向上や持続可能な利益の確保につながるからです。具体的には、販売戦略の再構築、コスト削減策、業務の効率化など、企業の収益構造を改善するための具体的な取り組みを明記する必要があります。

とくに、企業が直面している経営課題や問題を克服し、新たな価値を創造するための具体的な改善策を明確に描くことが求められます。

銀行からの新規融資などが難しくなる

経営改善計画書を作成する状況では、新規の融資を受けることが難しい場合が多いです。

金融機関が既存の貸付リスクを管理し、債務の返済能力を評価するため、経営改善計画書では、既存の債務の返済を最優先とし、その上で企業活動を改善し、収益性を高める計画を立てることが必要となります。

また、銀行との信頼関係の再構築にも焦点を当て、財務状況の改善や返済能力の向上を具体的に示すことが重要です。

金融機関が経営改善計画書のなかで重視しているポイントは?

経営改善計画書5

金融機関は経営改善計画書を評価する際に、企業の返済能力、財務健全性、計画の実現可能性を重視します。具体的には、財務状況の改善策、リスク管理、利益向上計画、資金繰り計画などが具体的かつ信頼性のあるものかどうかを重点的に見ます。

以降で重視されるポイントについて解説していきますので、参考にしてください。

CONTENTS

  • 1. 現実的な売上の根拠が明記されているか
  • 2. 現実的なコスト削減策の根拠が明記されているか
  • 3. 根拠のある数値計画であるか
  • 4. 全体を通して実現可能性の高い計画書であるか

現実的な売上の根拠が明記されているか

金融機関は、企業が提出する経営改善計画書のなかで、売上の根拠が具体的かつ現実的に明記されているかを重視します。売上予測は、企業の返済能力や経営状況の改善を示す重要な要素であり、市場分析、顧客の動向、競合他社との比較など、確固とした根拠に基づいた計画でなければなりません。

極端に楽観的な予測や根拠のない予測は信憑性を欠き、金融機関からの信頼を失う可能性があるため注意が必要です。

現実的なコスト削減策の根拠が明記されているか

金融機関は、企業の経営改善計画書で提案されるコスト削減策の具体性と現実性を重視します。具体的な行動計画と、その結果として予測されるコスト削減の見込みが明記されていることが求められます。

さらに、その策が現実的に達成可能であるという根拠や証拠も求められるでしょう。このため、実際のデータに基づく詳細な分析結果や、ベンチマーキングデータなどを用いて説明することが重要となります。

根拠のある数値計画であるか

金融機関は、経営改善計画書内の数値計画が現実的で、具体的な根拠や分析に基づいているかも重視します。具体的な収支計画や利益計画、資金計画などが事業の現状や将来の展望を適切に反映していることが求められます。

その予測が行われる際の前提条件や考え方、根拠となる情報が明示されていることも重要です。金融機関は、経営改善計画書から企業の計画が現実的かつ実現可能かどうかを判断するため、無根拠な数値計画は、企業の信頼性を低下させる可能性があるでしょう。

全体を通して実現可能性の高い計画書であるか

金融機関は、経営改善計画書全体が現実的で実現可能性の高いものであることを重視します。改善策や行動計画が具体的に明示され、それらの実現に必要なリソースや能力、期間が適切に考慮されていることが評価の対象となるのです。

また、予見可能なリスクや問題が適切に考慮され、それに対する管理策や対応策が明確に示されていることも求められます。金融機関は、計画書の実現可能性や信憑性、信頼性を重視し、その基準に照らして評価を行います。

机上の空論になっていない現実的な経営改善計画書を書こう!

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経営改善計画書は、あくまで現実的な経営改革を進めるための具体的な道筋を示すものであるべきです。現実と乖離した理想的な目標や、具体的な実現手段が示されていない計画では、その実現可能性は低くなります。

現実的な売上予測、具体的なコスト削減策、根拠のある収益計画など、具体性と実現性を重視した計画作りが必要です。また、現状の経営課題や市場環境を把握し、それらに対する適切な対策を立てることも重要となります。

中小企業庁が提供する経営改善計画書のサンプルは、具体的な計画作りの参考になる資料です。

参考:中小企業庁「経営改善計画書のサンプル」

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