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経営者に必要なスキルとは何か?求められる要素、身に付ける方法を詳しく解説
経営者に必要なスキルとは、いったいどのようなものでしょうか。状況を見極め、適切な判断を下し、組織を率いていかなければならない経営者には、あらゆる知識、スキルが求められます。優れたリーダーとして成長する必要性を感じていても、自分に足りないのは何か、どこから手をつけたらいいのか分からないという経営者も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、経営者にとって必要なスキルとは何か、そしてそれらを身に付けるためには何が必要か、詳しく解説します。
経営者に必要な知識・スキルとは
会社の経営者に必要な知識・スキルは多岐にわたります。いろいろな分類の仕方がありますが、ここでは一例をご紹介します。
中小企業庁の2022年度版「中小企業白書」では、アンケートをもとに経営者に必要と仮定した資質を分析して共通する要素を抽出し、企業の成長にプラスとなる経営者の知識・スキルを6つに類型化しています。
それによると、経営者に必要な知識・スキルは主に以下の6つが例として挙げられています。
CONTENTS
- 1.臨機応変に対応し、意思決定する力
- 2.傾聴し、人を導く力
- 3.理論的に考えて本質を見抜き、適切に表現する力
- 4.計数管理、計画能力
- 5.問題意識を持ち、自己変革する力
- 6.業界に精通する力
以下、それぞれどのような力が必要となるのか、詳細を見てみましょう。
臨機応変に対応し、意思決定する力
ビジネスの世界の動きは早く、自社をとりまく環境は日々変化しています。「これまではこうだったから」「過去はこれで成功したから」という理由だけで物事を判断すると、事業の成長が見込めないだけではなく、時には大きなチャンスをとりこぼしたり、手痛い失敗を招く懸念があります。また、予想外のことが起きた際に、フレキシブルに方向転換する柔軟な姿勢や、新しい情報をアンテナ高くキャッチし、自由に発想する力も必要です。経営者は、刻々と変わっていく状況を見極めて、臨機応変に対応しなければなりません。
そして大切なのが、さまざまな状況に配慮した上で、トップとして意思決定することです。その時点では、その決定が正解なのかどうか、誰にもわかりません。判断することは簡単ではなく、時には恐れを感じることでしょう。困難な状況においても、組織を背負う責任と覚悟を持って決定する力は、経営者として必要不可欠です。
傾聴し、人を導く力
企業経営は、1人だけでは実現できません。周囲と良好な関係を築き、部下を成長させ適切に導き、多くの人のパワーを活用することで、事業はさらに大きく伸びていきます。
そのために必要となるのが、傾聴する力です。他人の意見に耳を貸さない経営者は、自分自身が成長できないだけではなく、有益な助言を生かすことができません。また、部下の提案や要望を丁寧に聞き取ることも、企業を存続する上で大切な要素です。
優秀な人こそ陥りやすいのが、人に仕事を任せることができず、全てを自分1人で抱え込んでしまうというマイナスです。人を導く力を持ち、部下の課題解決や成長に伴走できる経営者は、信頼できる幹部を得て、1人ではできないより大きな仕事をすすめ、企業を発展させることができるはずです。
理論的に考えて本質を見抜き、適切に表現する力
業界内で起きているさまざまな動き、部下から上がってくる無数の課題、国内外の主要メディアで伝えられるニュース…一見、無関係でばらばらに起きているこれらの出来事は、もしかしたら何か大きな大変革の前触れかもしれません。例えば、新たなスタートアップの台頭、自社顧客のうち一定層の購買力低下、欧州での新たな法規制に向けた委員会の設置といった出来事が、ひょっとすると小売の世界におけるビジネスモデルが大きく変わる前触れかもしれないのです。
これは単なる一例ですが、経営者には、起きている事象の表面のみを見るのではなく、抽象化して全体像を捉えたり、情報をもとに分析したりしながら、今何が起きているのか、本質は何なのかを理論的に考え見抜く力が求められます。
そして、自分の中に仮説や今後の方針、伝えたいメッセージが形作られた際は、それを分かりやすく整理し、説明する必要があります。トップが建設的に、具体的に伝える表現力を持たなければ、部下は何を言っているのかを正しく理解できず、一丸となって動くことができないからです。また、適切な表現力は社外に向けても必要となります。トップのわかりやすい魅力ある発信は、その企業のイメージアップや価値向上に大きく貢献するはずです。
計数管理、計画能力
データや情報があっても、それを見て正確に理解することができなければ、適切な判断を下すことはできません。経営者が見るべき数字は多岐に渡ります。例えば、財務や会計に関する一定レベルの専門的な知識がなければ、会社の財務状況を細かく正確に把握することは難しいでしょう。
そして、現状を理解した上で、会社をさらに成長させるための投資計画や、3年後、5年後、10年後の未来に向けた具体的な戦略としての経営計画を立てる必要があります。さらには、資金、人員、新規事業などの分野ごとの計画がしっかりとしていなければ、実現可能性のある経営計画を作ることはできません。
財務や計画立案といった分野のプロフェッショナルを雇い入れるとしても、最終的な判断を下すのは経営者です。その人に任せてアドバイスに従って行った決定が間違ったとしても、他人のせいにすることはできません。経営者は、数字の意味するところを正確に読み解き、適切に計画を立てるスキルを身に付ける必要があります。
問題意識を持ち、自己変革する力
経営者は、現状に満足して追認するのではなく、常に問題意識を持って会社や自分を変革していかなければなりません。
変革にはパワーが必要です。ただ漫然と日々のタスクをこなすのではなく、定期的に課題を洗い出して優先順位をつけ取り組むこと、未来の理想像を描きそこに向けた必要なアクションを考え抜くことが求められます。
問題意識や自己変革する力を持つためには、常日頃から情報収集することや、他社・他の業界で起きたことを自分事として捉える危機感、そして新しいことを恐れず果敢に取り組むチャレンジ精神など、いろいろな要素が必要になります。常に業界のトップを走り成長し続ける企業のリーダーを想像すると、具体的なイメージが掴みやすいかもしれません。
業界に精通する力
経営者であれば当然、自社が属する業界に精通し、専門的な知識やノウハウを持っていることが求められます。また、書籍などで学ぶだけではなかなか知りえない独自の商慣習なども把握し、その業界でビジネスをすすめるためにはどう立ち回るべきかを理解していなければなりません。業界だけではなく、国や地域、官公庁や法人一般顧客など事業を行う対象などによっても知っておくべき事柄は異なるでしょう。さらには、市場動向や同業他社、ステークホルダーの動きなどに関しても、情報を集めておく必要があります。
円滑に事業をすすめるために、経営者は自社が属する業界に精通し、その分野のエキスパートであることが必要不可欠だといえるでしょう。
※※※
ここに示した6つの分類は、あくまで前述した中小企業白書で紹介されているもので、全てを網羅しているとは限りません。挙げられているそれぞれの知識やスキルと一部が重複・関係しますが、例えばコミュニケーション能力や倫理観など、ここにはないものも必要なスキルとして考えられます。
大事なことは、経営者として企業を成長させ、組織を率いる上で、自分がより秀でているものは何なのか、そして自分には何が足りないのかを把握し、自分自身がどのような経営者なのかを客観的に理解することです。
中小企業白書で紹介されている意識調査でも、それぞれが持つ強み・タイプによって、利益の使い道などが異なる傾向があることが示されています。
自身がより優れている能力や、足りないと感じるスキルを知ることで、必要な対策を取ることが可能になります。例えば、自身が取りがちな行動や注意した方が良い見落としを意識したり、不足する部分を補完できる幹部を育てたりといった方法が考えられるでしょう。そしてさらに、自身で学びスキルを習得できれば、会社経営をより強固にすることができるはずです。
必要な知識・スキルを身に付けるための方法とは
では、経営者として必要な知識やスキルを身に付けるには、どのような方法があるのでしょうか。習得するための手段として考えられる一例をご紹介します。
CONTENTS
- 1.研修やセミナーを受講する
- 2.経営者を対象としたエグゼクティブコーチングを受ける
- 3.経営者仲間等と勉強会を開く
- 4.書籍や動画で独学する
研修やセミナーを受講する
まず方法として上げられるのが、研修やセミナーに参加して、経営者のスキルを身に付けるためのコース等を受講することです。
民間の企業や経営者コミュニティなどが有料で開催しているものや、全国の商工会議所が経営者向けに開いている無料で受講できるものなどがあり、料金や期間は、ものによってさまざまです。また、内容も多岐に渡るため、自身が身に付けたいスキルは何かを見極めて、自分にあったものを選択することが必要です。
経営者を対象としたエグゼクティブコーチングを受ける
経営者に特化したコーチング、エグゼクティブコーチングを受けることも有効です。経営者としての知識やスキルを身に付ける上でコーチングを受けるメリットは、個別のスキルに特化するのではなく、プロのコーチと一対一でその人自身全体の課題を洗い出し、解決に向けた道筋を立てることができる点です。また、経営者として目指す姿を描き、そのゴールに向け進んでいるかをコーチが伴走してくれます。
スキルを身に付けて成長したい経営者にとって、エグゼクティブコーチングは優れた手法の一つと言えるでしょう。
経営者仲間等と勉強会を開く
志を同じくする他企業の経営者仲間と協力し、勉強会を開くのも一つの方法です。内容を考えたり専門家を招いたり、準備をする手間がかかりますが、気の合う仲間と一緒に行うことができれば楽しみながらすすめられるため、モチベーションを維持して続けることができるかもしれません。
また、自分と同じく厳しいビジネス界で努力する他の経営者とコミュニケーションを取ることで、刺激を受け、より意識を高める効果も期待できます。
書籍や動画で独学する
今すぐにでも始められるのが、書籍や動画を使って自分で学ぶ方法です。経営者としての心構えを説くもの、数字の見方、経営計画書の作成方法、部下育成のやり方を学べるものなど、経営スキルを磨くことに特化した書籍や動画はたくさんあります。手軽にアクセスできて、スキマ時間を有効に使いながら学べるため、始めやすいというメリットが考えられます。
ただし独学となるため、自分が優先して身につけるべき内容は何か、学んだ内容をしっかりと吸収し成長しているかどうか、客観的なフィードバックを受けることはできません。また、ついつい後回しにしたりサボってしまう懸念もあります。この方法だけで十分な成果を出すためには、十分な自己分析や、強い意志が必要となってきます。
※※※
いろいろな方法をご紹介しましたが、全ての方法においてもう一つ重要なのが、実際に行動することです。インプットだけをするのではなく、得た知識やスキルを意識し、実際の経営場面で使ってみることが大切です。
インプットとアウトプットを繰り返すことで、より、経営者として成長することができるようになるでしょう。
エグゼクティブコーチングを受けるメリットとは
いくつかの方法をご紹介しましたが、本記事では特に、エグゼクティブコーチングの導入をおすすめします。なぜなら、経営者の成長を促し、経営上の課題解決や目標達成に特化したエグゼクティブコーチングは、知識やスキルを身に付けたいと考える経営者にとって、さまざまなメリットがあるためです。主な利点をご紹介します。
CONTENTS
- 1.自分の強み、弱みを客観的に理解できる
- 2.次のアクションや進捗をチェックする時間を定期的に確保できる
- 3.目標に向かって、着実に進んでいくことができる
自分の強み、弱みを客観的に理解できる
エグゼクティブコーチングでは、1対1でコーチと依頼者が対話をします。プロのコーチによる研ぎ澄まされた質問に答えることで、依頼者は自身の中にある価値観、課題、将来目指す姿などの解像度を上げていくことが可能となります。
コーチの役割は、依頼者をサポートして成長を促すことです。コーチが「あなたの弱点は〇〇です」と指摘するのではなく、考え方、悩み、成功や失敗の体験などを質問を通じて掘り下げていくことで、依頼者自身が自然と答えに近づき、自分を客観的に見つめることができるようになるのです。
一見、時間がかかり大変なように感じるかもしれませんが、分析されて「あなたは〇〇」と言われる場合とは異なり、自分自身の内面を冷静に見つめることで、より解像度高く自分の強み・弱みを理解し、どんな経営者になりたいのかを具体的に描くことが可能となります。そして、必要な知識やスキルを把握し、納得しながら行動に移すことができるようになるのです。
次のアクションや進捗をチェックする時間を定期的に確保できる
経営者は毎日が超多忙。多くのタスクやミーティング、アポイントなど、スケジュールがぎっしりと詰まっているのではないでしょうか。
そんな経営者が、自らの成長のために時間を確保することは簡単ではありません。将来に向けて必要だと分かっていても、ついつい後回しになってしまい、目先の業務を優先させてしまうことも多いと思います。しかし、新しい知識を身に付けるためには、定期的にそのための時間を確保し、しっかりと目的に向かってすすんでいるかをチェックしながら、やるべきことを一つひとつクリアしていかなければなりません。また、一定期間継続することも、効果を出すためには必要と言えるでしょう。
そうした点で、エグゼクティブコーチングの導入は、大きなプラスとなります。定期的にコーチとセッションする時間を設けることで、意識せずとも必然的に時間を確保することができるほか、中長期で伴走してくれるため、途中で挫折せずにやり遂げるパワーを得ることが期待できます。
目標に向かって、着実に進んでいくことができる
エグゼクティブコーチングを導入し、定期的にセッションを受けることで得られるメリットは、ほかにもあります。それは、目標に向かって、確実に進んでいくことができる、という点です。
エグゼクティブコーチングでは、目標を明確にし、その目標を実現するために解決すべき課題を整理し、そして解決に向けたプランを設定します。
定期的なコーチングの良い点は、こうした課題に対する議論をして終わりではなく、毎回振り返りがあり、適宜フィードバックを得ながら解決策の進捗を確認したり軌道修正をしたりできる点です。セミナー受講や書籍・動画による学びなど他の方法と組み合わせながら、実際の日々の業務で実践できているかどうかをチェックしていけば、より効果を高めることができるでしょう。
特に、重要ではあるものの自社にとって緊急性が高くない「経営者の成長」という課題は、ついつい後回しになってしまいがちです。いざ必要という場面になって、手をつけていないことを後悔する…というケースも少なくありません。エグゼクティブコーチングを導入することで、やるべきことを着実にこなし、一歩一歩着実にゴールに近づくことが期待できます。
まとめ
優れた経営者になるためには、さまざまな知識やスキルを身に付ける必要があります。そのためには、まず、自分自身を十分理解し、なりたい将来像を明確に描き、そして必要な行動を一つひとつこなしていく必要があります。激動するビジネスの世界において、「今のままで良い」ということはありません。それは、事業戦略だけではなく、経営者自身が成長し、変わっていかなければいけないという点においても同じです。
経営者として一回りも二回りも大きくなり、組織を率い、企業の成長につなげていきましょう。
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