コーチング
コラム
【AI×コーチング】AIコーチングを受けるメリット・デメリットとは?
近年、目覚ましい進化を遂げているAI。特に、データを学習し、新しいデータを生み出すことができる生成 AIは、まるで人間のように会話をしたり、プロが描いたかのような画像を作ったりすることが可能です。アメリカのOpenAI社が開発したChatGPTが登場し、一般の人々にもその存在が一気に知られるようになりました。
そして今、このAIを活用したコーチングサービスが徐々に始まりつつあります。
AIコーチングとは一体何で、どのようなメリット、デメリットが考えられるのでしょうか。そして、人間のプロのコーチによるコーチと、どちらがより優れているのでしょうか。
AIコーチングの現状と課題などについて、詳しく解説します。
AIによるコーチングとは?
まず、AIコーチングとはどのようなものなのか、使われている技術とあわせて、その中身を見てみましょう。
CONTENTS
- 1.AI技術の進化
- 2.AIを利用したコーチングの現状とは?
AI技術の進化
大きな話題となった「ChatGPT」。実際に使って、質問をしてみたことがある人もいるのではないでしょうか?
ChatGPTには、「自然言語処理」という、人間の言葉をコンピュータで処理する技術が使われています。ChatGPTは、この技術を用いて、あたかも人間が話しているような自然な文章を作ることが可能です。
しかし、実際に言葉の意味を「理解」して、会話をしているかどうかは難しいところです。
ここでいう「理解」とは、私たち人間が日常会話をする中で、言葉の意味を受け取って、物事の流れ、相手の気持ちや立場をくみ取るという趣旨での理解です。
細かい仕組みは明らかにされていませんが、ChatGPTなどの生成AIは、大量のデータを基に学習し、大規模な深層言語モデルという仕組みを使っています。そして、次に来る単語を予測して並べ、あたかも人間が作っているかのような自然な文章を生み出すことができると言われています。
AIを利用したコーチングの現状とは?
徐々にではありますが、AI技術を用いた新しいコーチングサービスが、日本だけではなく各国で実際に始まっています。
AIコーチングとは、その名の通り、AI技術を活用したコーチング。相談を受け、依頼者に質問をし、目標達成に向けた進捗を確認するのは、人間ではなくAIです。
サービスを提供している企業によって細かな中身は異なりますが、多くが、依頼者のデータを元に、生成AIによってコーチング特有の「質問」を作成し、会話形式ですすめるやり方をとっています。AIが問いかけをし、依頼者が答える。その繰り返しでセッションが進んでいく方式が一般的です。
また、企業の代表や経営層を対象にしたエグゼクティブコーチングではなく、大勢の一般社員などを対象に、企業全体で一斉にコーチングを導入するための一つの方法としてAIコーチングのサービスを提供しているところもあります。
AIにコーチングを依頼するメリットとは?
新たに始まった、AIを活用したコーチングサービス。実際に利用する際のメリットとしては、どのような点が挙げられるのでしょうか。
CONTENTS
- 1.時間の制約がない
- 2.データを活かせる
- 3.人としての感情・対応のブレがないる
時間の制約がない
まず最初に考えられるのが、「いつでもコーチングをしてもらえる」というメリットです。
24時間365日、いつでもコーチングが受けられるのは、相手が機械だからこそ。AIコーチングの強みといえるでしょう。
人間のコーチであれば、当然ながらスケジュールを合わせてコーチングを受ける時間を設定する必要があります。人気のコーチであれば、予約が詰まっていてなかなか時間を確保するのが難しいケースもあるかもしれません。
また、人間である以上休みも必要なので、土日や祝日、また早朝や夜中など、コーチングを受けたいと思っても無理な日時が出てくるため、「いつでも」というわけにはいきません。
その点、AIコーチングであれば、スケジュールを調整する必要もなく、曜日や時間を気にせず利用が可能です。相手は機械なので、忙しい、疲れているといったことはありませんし、こんな時間に迷惑かな、と気を遣う必要もありません。
時間にとらわれずにコーチングを受けられるというのは、AIコーチングの大きなメリットといえるでしょう。
データを活かせる
AIを活用することで、さまざまなデータの分析結果に基づいたコーチングが期待できます。
活かすデータとしては、コミュニケーション履歴、依頼者の行動、目標数値や進捗スピードなど、あらゆるものが考えられます。さらに、依頼者の周囲の人間の匿名フィードバックを元にした課題の明示、依頼者の性格に合わせたセッションの組み立て、依頼者のニーズに沿ったアクションプランの提示など、パーソナライズされたコーチングも可能です。
AIであれば、大量のデータでも素早く分析ができますし、数字を間違える、情報を忘れるといったミスの心配もありません。
大量のデータをもとにした正確なアウトプットができるAIならではのコーチングが可能となります。
人としての感情・対応のブレがない
人間は、感情がある生き物です。人間であるコーチの場合、ときには相手のことを慮(おもんぱか)って言うべきことが言いづらくなってしまったり、自分と異なる価値観を持つ依頼者に反発を感じてしまったりして、コーチとして最善ではない選択をしてしまうことがあるかもしれません。
スキルが高いベテランコーチであれば、プロとして下手に感情に流されないコーチングが期待できますが、全てがそうしたスキルの高いコーチばかりとは限りません。
コーチによる経験や能力の差は、対応のブレにもつながります。例えば企業として一斉に大勢にコーチングを受けさせたい場合、同じ問題に対する対応、問いかけの質にばらつきがあるのは望ましくないといえるでしょう。また、対人間であれば、「好き・嫌い」、「合う・合わない」といった、理屈抜きの相性の不具合が出てくる可能性もあります。
AIであれば、そうしたばらつきや、相性が合わないといった問題も考える必要がありません。
AIにコーチングを依頼するデメリットとは?
AIならではのメリットを見てきましたが、一方で、AIコーチングにはデメリットも存在します。どのようなマイナスが考えられるのか、主なものをご紹介します。
CONTENTS
- 1.プライバシーとデータセキュリティ
- 2.人間のように寄り添う能力の限界
- 3.データに基づく対応の限界
プライバシーとデータセキュリティ
より良いAIコーチングを受けるためには、自分のキャリア、目標や目標達成のための課題、そして時には家族情報や趣味といったプライベートな事柄など、細かい情報をAIに伝えなければなりません。また、日々のセッションの内容、つまりAIから投げかけられた問いに対してどのような答えをしたのかも、データとして蓄積されていきます。
これらは依頼者にとって、外部にさらされたくないプライバシー情報もふんだんに含まれているはずです。これらのデータが外部に流出する懸念があると、本心をさらけ出すことができなくなってしまいます。AIコーチングを安心して受けるためには、高水準のセキュリティが求められることはいうまでもありません。
またサービスによっては、AIコーチングで得た情報をビッグデータとしてコーチングの品質向上に役立てている場合もあります。個人が特定されないような形に変換されるとしても、自分の悩みを吐露した内容がAIの学習に役立てられることに対し、拒否感を持つ人もいるかもしれません。
AIコーチングを考える上で、個人のプライバシー保護やデータセキュリティの問題は、課題の一つといえるでしょう。
人間のように寄り添う能力の限界
メリットとしてご紹介した「人間の感情がない」という点は、依頼者によってはデメリットにもなり得ます。
文字通り「機械的」に、的確な質問をし、こなすべきタスクの進捗確認などをする分には、AIでも遜色ないコーチングを提供することが可能かもしれません。
しかし時には、ただ寄り添って話を聞いてほしい、共感してほしいという心理からコーチングを受けたいこともあるでしょう。そんなときにAIから、過去のデータに基づいた無味乾燥な返答をされた場合に、依頼者はどう感じるでしょうか?
心の深い部分をさらけ出し気持ちを吐露しても、返ってくるのは機械学習によって生成されたきれいな言葉です。依頼者によっては、物足りなさを感じてしまうかもしれません。
また、問いかけに対して返す答えは同じでも、そのときの依頼者の気持ちの在り方までもが同じとは限りません。状況、文脈、表情から人間のコーチはそれを読み取ることができますが、人間の持つ繊細な感情のひだ、複雑な人間関係などを理解することは、AIにはできません。
さらに、特にエグゼクティブ層を対象にしたコーチングでは、依頼者を理解し、時にはコーチングの枠を超え叱咤激励し、人生そのものに伴走してくれる役割がコーチに必要とされます。
シリコンバレーの「ザ・コーチ」として知られるビル・キャンベル氏は、スティーブ・ジョブズやジェフ・べゾスなど多くの著名人と生涯を通じて良い人間関係を築いたと言われています。そうした存在になるのは、AIでは難しいといえるでしょう。
データに基づく対応の限界
AIは、大量のデータを基に文章を作成しています。そのため、既存の情報やパターンに沿った問いかけ、会話はできますが、全く新しい情報、過去にない問題にあたったときに、対応が難しくなってしまうのが現状です。
予測不能な状況に対し、新規の視点でとらえ対応すること、ゼロから創造的に何かを生み出すことなどはAIの苦手分野と言えるかもしれません。
また、データを学習して結果を出力することから、そもそもデータが不十分であったり偏ったりしていた場合、それにAIも引きずられてしまう可能性があります。
例えば、法改正によって業界で新たな規制が始まった場合、ChatGPTに必要な対策を質問しても、返ってくるのは改正前の法律に基づいた答えだけです。これはコーチングにおけるセッションとは異なる利用シーンですが、AIコーチングにおいても、新しい世の中の動きやニッチな業界に関することなど、十分なデータが得られない問題への対応はなかなか追いつかない可能性があります。
データによって学習するAIの特性上、場合によってはコーチングの中身に限界が出てしまうことも、AIコーチングのデメリットといえるでしょう。
結局コーチングは人間?AI?
AIコーチングのさまざまなメリット・デメリットについてご紹介しましたが、結局のところ、コーチングを受けたい場合、人間のコーチの方が良いのでしょうか?それとも、AIの方が良いのでしょうか?
CONTENTS
-
- 1.質では人間に勝てない?
- 2.まずはプロのコーチングを受けてみよう!
質では人間に勝てない?
大きな注目を集めるAIによるコーチングですが、質の面では、現状、人間によるコーチングが一歩も二歩も上を行っていると言えるのではないでしょうか。
例えば、大事なイベントの前にとりあえずやりとりをして気持ちを落ち着かせたい、的確なフィードバックは得られずとも、頭の中身を言語化して吐き出す際の壁打ち相手がほしいといった、ある程度単純な目的であれば、AIコーチングでも十分期待した効果を得られると考えられます。
また、大勢の一般社員に常識的・基礎的な考え方を植え付けたいといった目的で、広く一斉にコーチングを導入するといった際も、費用などの面でAIコーチングが活躍するかもしれません。
しかし、今後進化していく可能性はありますが、現状では、セッションの内容、得られる効果などの質という点で、AIコーチングは、人間であるプロのコーチにまだまだかなわないといえます。
特に、複雑で高度な問題を抱える経営層を対象にしたエグゼクティブコーチングを受けたい場合、事業の成長や人生に伴走してくれるよき理解者がほしい場合などは、AIではなく、プロの人間によるコーチングの方が向いているといえます。
まずはプロのコーチングを受けてみよう!
コーチングの導入を検討している際は、まずは、人間によるコーチングを受けてみることがおすすめです。
お伝えしたように、特に会社経営者などのエグゼクティブ層は、AIコーチングでは対応しきれないような多くの問題を抱えているため、対応するコーチには豊富なコーチング経験やビジネスに対する知見が求められます。
手軽なAIコーチングだけを受け、コーチング本来が持つプラスの効果を知らないまま、「なんだこんなものか」とコーチングを評価してしまうのはもったいないといえるでしょう。
経験豊富なコーチによるレベルの高いセッションを受け、コーチングによる効果や自身の変化を実感した上で、例えば部下に受けさせる、夜中の壁打ち相手にする、などの目的でAIコーチングを合わせて活用してみるのも良いかもしれません。
まとめ
大きな注目を集める、AIコーチング。データを活用した新しいテクノロジーならではのメリットがある一方で、現状ではさまざまなデメリットもあります。
コーチングを受ける目的、依頼者の立場によっては、「AIコーチングでも十分」というケースもあるかもしれませんが、高いスキルを持った人間のコーチには、質の面でまだまだ及ばないといえるでしょう。
AI技術の進化によって、今後、AIコーチングの中身や使い方も変わっていくかもしれません。動向を追いつつ、まずは経験豊富なプロ・人間によるコーチングを受けてみて、コーチング本来の効果を体験することをおすすめします。
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