コーチング
コラム
経営者として成長するために必要なこととは?
変化が激しく、次々と新しい課題が登場するビジネス環境。先が見通せない今の状況は「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」のそれぞれの頭文字をとって、「VUCAの時代」とも言われます。
そうした中で、経営者が組織を率いて事業を継続させることは、簡単ではありません。企業を存続させていくためには、経営者自身が新たな時代に対応し、成長していく必要があります。
しかし、従業員と異なり、「経営者の成長」のための教育プログラムを整備している企業は多くないことでしょう。また、自身がトップである経営者は、上司に育ててもらうこともできません。経営者が成長するためには、自ら目的に沿ったやり方を見つけ、実践していかなければならないのです。
経営者は一体どのようにして、自分自身を成長させていくべきなのでしょうか。
このコラムでは、組織を率いるエグゼクティブ層が経営者として成長するために何が必要なのか、選択肢となり得る具体的な手法や、それぞれのメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
今、なぜさらなる成長が必要なのか。
経営者が直面している課題、ビジネス環境の変化とは
いつの時代も、経営者は学び、いろいろな経験を重ね、そしてリーダーとして成長し続けることが求められます。
しかし、現代は特に、経営者として漫然と今まで通りに事業を行っているだけでは、さまざまな課題に対応しきれなくなってきています。その背景には、ビジネスを取り巻く環境の大きな変化があります。そしてその変化のスピードは早く、多くの場合予測が不可能です。
今、なぜ経営者にさらなる成長が必要とされているのか、まず最初に、背景にある経営者が直面しているさまざまな課題、そしてビジネス環境の変化を考えてみましょう。
CONTENTS
- 1.次々と誕生する新たな技術
- 2.世界情勢や社会の予測不可能な変化
- 3.社会が企業に求める役割の変化
- 4.あらゆる業界に広がる人手不足
次々と誕生する新たな技術
新たな技術が次々と生まれる現代。それらを活用したサービスや商品、ビジネスモデルなどの登場によって、さまざまな分野で大きな変化が起きています。スタートアップが生まれ競争が激しくなるだけではなく、今まで市場に存在しなかった、全く異なる業種から参入したプレイヤーが、一気に業界のトップに躍り出ることも珍しくなくなっています。
また、かつてのECの登場に代表されるように、技術の進歩は人々の購買行動や普段の生活様式にも大きく影響しています。これまでと同じやり方の中で質やスピードを上げるだけでは、生き残ることが難しい業界も多いことでしょう。近年でもAIの台頭により、IT分野に限らず、ありとあらゆる業界で次々と大規模な変化が起きています。
経営者は常に新たな技術について学び、そしてそれによって生まれた新たなビジネスや世の中の変化をキャッチし、自身のビジネスに取り入れていく必要があります。
世界情勢や社会の予測不可能な変化
新型コロナウイルスの感染拡大、世界で勃発する紛争、各国の政権交代…予測不可能なこうした変化は、当然ながら、ビジネスにも大きな影響を与えます。例えば、人々の働き方の変化に合わせたリモートで仕事ができる体制整備や、世界情勢に合わせたグローバルな事業展開の見直し等、企業はそうした環境変化にスピード感を持って対応することが必要です。変化の見落としや対応の遅れは、企業の存続に致命的なダメージとなってしまうからです。
そのため経営者は、今何が起きているのか、常にアンテナを張ってキャッチアップしなければなりません。そして、得た情報を活かして行動に移すためには、それぞれの事象がどういう意味を持つのか、正しく理解するための知識も必要となります。
社会が企業に求める役割の変化
変化しているのは、技術や世界の情勢だけではありません。世の中の人々が企業に求める役割も、近年、大きく変わってきています。かつてのように、良い商品やサービスを届けて経済をけん引するだけではなく、今の時代の企業は、地球環境や人々(従業員)の健康、多様性などに対して理解を示し、そうした考えに基づいて活動しなければなりません。
そうした社会の要請に応えていないと判断された企業は、いくら良い商品を提供していたとしても顧客からも見放されてしまいます。例えば、商品の製造過程で環境を汚染している、従業員に過酷な労働環境を強いているといった問題が明らかになった企業に対して、不買運動が起きることもあります。逆に、自社の利益追求に留まらず、社会に貢献していると判断された企業は、企業イメージが向上しファンが増える、ESG投資やなでしこ銘柄選出などにより資金が集まるといったメリットも考えられます。
経営者は、今の時代に企業としてどう行動すべきかをしっかりと理解し、企業活動に落とし込み、そして内外に発信しなければなりません。
あらゆる業界に広がる人手不足
労働人口の減少、働き方改革による1人あたりの労働時間の短縮などにより、人手不足はあらゆる業界に広がっています。採用はかつてないほどの売り手市場となり、漫然とこれまでと同じやり方で採用活動を続けている企業は、良い人材を勝ち取るための競争に勝つことができず、事業の継続・成長が難しくなってしまいます。経営者は、変化する求職者の行動パターン、求める人材にリーチする方法など、今の採用市場の動向を常に理解し、早めに対応しなければなりません。また、より人が集まる魅力的な企業となるためには、事業はもちろん、それ以外にもさまざまな社内制度、給与・人事体系など職場環境を整備する必要があります。
そして何よりも、特にスタートアップや中小企業などトップの影響力が大きな企業においては、経営者が魅力ある人物かどうかが求職者の選択にも大きく影響します。良い人材を獲得するためには、トップとして組織を率いる経営者自身が常に成長し、この人の下で働きたいと思われるような経営者であることが求められます。
経営者が成長するためには何が必要か
ご紹介したような変化の激しい時代にいち早く対応し、企業が将来に向けて存続するためには、経営者自身の成長と進化が必要です。これまでと同じやり方を続けているだけでは、次々と登場する新たな課題に対応しきれなくなってくるからです。
とはいえ冒頭にお伝えしたように、経営者の場合は、会社が教育プログラムを用意してくれるわけでも、何を学べばいいかを上司が指示してくれるわけでもありません。経営者として成長するためには何が必要か、自ら情報を集め、学びの機会を作り、経験を積まなければなりません。
さらに、優れた経営者になるためにプラスとされる内容は多岐に渡り、「これを身に付けるべき」という考え方もそれぞれです。やみくもに手を出してしまうと、自分には必要のないことに時間を割いたり、優先度が低いものにてこずって進みが遅くなってしまう懸念もあります。
何から手をつけたら良いのか迷ってしまう、という事態を防ぐためにも、具体的な手法を考える前に、まず、成長のために何が必要か、要素を洗い出し、進むべき方向性を確認してみましょう。
CONTENTS
- 1.自己分析をして、経営者としての自分のタイプや強み・弱みを把握する
- 2.事業や組織の目指す姿、理想の経営者像を明確にする
- 3.目指すゴールに向けた戦略を練る
自己分析をして、経営者としての自分のタイプや強み・弱みを把握する
「経営者」と一口に言っても、そのタイプはさまざまです。強いリーダーシップやカリスマ性を発揮し、組織をぐいぐいと引っ張っていくタイプの経営者もいれば、周囲とのコミュニケーションを重視し、人脈を駆使したり部下をうまく使ったりしながら事業をすすめるタイプの人もいます。また、経営者になるまでの経歴や専門性によっても、得意・不得意は異なります。
まずは、自分はどういうタイプの経営者なのか、強みや弱みはどこにあるのか、客観的な目で見て実像を正確に捉えることが大切です。
事業や組織の目指す姿、理想の経営者像を明確にする
現在の自分の姿を理解することとあわせて、経営する企業をどのような姿にしたいのか、そして自分はどのような経営者として企業を率いていきたいのか、ゴールの姿を明確にすることも重要です。
前述したように、経営者のタイプはさまざまで、「こうなれば100点」という経営者としての正解を誰かが示してくれるわけではありません。いろいろなタイプの経営者について研究したり、今の時代に必要な要素を学んだり、さらには自分が事業を興した理由、ビジネスを通じて成し遂げたいものを考えたりして、自分にとって目指す姿を形作っていきましょう。
目指すゴールに向けた戦略を練る
現在の自分の状況と目指すゴールがはっきりすると、理想の姿に対して何が足りないのか、ギャップが見えてきます。そこに向けて、自分がどのように成長していくべきか、戦略を練りましょう。
実現の仕方はさまざまです。例えば、部下とのコミュニケーションが苦手で統率力に欠ける経営者の場合、自らその弱みを克服するよう勉強することもできますし、自分の足りない部分を補う右腕を作るべく、人材育成や採用についてスキルを伸ばすやり方もあり得るでしょう。さらに、要素によって優先度やスピード感も異なります。事業変革のためにDXを推進する、といったすぐにとりかかることが必要なものもあれば、経営者としての人脈を築く、人としての器を大きくする、といった時間をかけて達成していくものもあるはずです。思いつくままにあれもこれも手を出すのではなく、優先度をつけた上でしっかりとした戦略を練り、取り組むことが重要です。
経営者が成長するための具体的な手法とは
現在の自分の姿、目指すべきゴール、そこに向けた戦略や優先度が明確になったら、実際に成長に向けて動き出しましょう。しかし、何を持って経営者として成長したと言えるのか、その中身や性質はさまざまです。経営に必要な知識を得る、具体的なスキルを身に付けることも事業に不可欠ですし、さらに会社の顔となるような魅力ある人間になる、人脈を広げる、などを成長と考える人もいることでしょう。また、日々の事業活動、経営者としての経験の積み重ねも当然ながら経営者としての成長につながっているはずです。経営者として成長するために一体何をすれば良いのか、そのやり方は一つではありません。一例になりますが、以下に一部をご紹介します。
CONTENTS
- 1.書籍やインターネットで知識を得る
- 2.セミナーなどに参加する
- 3.経営スクールに通う
- 4.人に会う
- 5.経営者として経験を積む
- 6.コーチングを受ける
書籍やインターネットで知識を得る
知識を身に付けるための代表的な手法の一つは、本を読んだり、インターネットで調べたりすること。隙間時間で実行できる上、一歩踏み出すハードルが低く、比較的取り組みやすいのがメリットといえます。経営者として必要なマインドを説くもの、いろいろな業界の同行や展望を分析するものなど、書籍やネットから得られる知識の種類は多岐に渡ります。また、前項で紹介したような自己分析や理想の経営者像を具体化するために、書籍やネットを活用する人もいるかもしれません。書籍やインターネットは、経営者が成長に必要な知識を得るための有効なツールの一つと言えます。ただし、特にインターネット上の情報は、言うまでもなく玉石混合です。情報の質を見極めながら、上手に利用することが大切です。
セミナーなどに参加する
コンサルタント会社やビジネス関連の団体、行政や商工会議所など、さまざまな組織が経営者向けのセミナーを数多く開催しています。経営戦略全般を学ぶものや、法改正の解説、バックオフィスの整備の仕方といった具体的な課題解決に特化したものなど、経営者が身に付けるべきいろいろな内容をセミナーで学ぶことができます。セミナーの良い点は、基本的に知りたい内容に関するプロフェッショナルの話しを直接聞くことができること。セミナーによっては質問ができる時間や講演を聞いたあとの交流会などもあるため、知りたい内容をより深掘りすることも可能です。
経営スクールに通う
しっかりと腰を据えて学びたい人は、経営スクールに通うのも選択肢の一つです。スクールによって内容は異なりますが、経営戦略や財務、マーケティングなど直接事業運営に必要な経営スキルや、リーダシップなど経営者に必要なヒューマンスキルなどを学ぶカリキュラムが一般的です。受講形式もさまざまで、実際に通学することが必要なスクールもあれば、オンライン授業や動画コンテンツ受講などが可能なスクールなどもあり、それぞれ違いがあります。経営スクールは経営者として必要なものを体系的に一通り学べるという利点がある一方で、時間やお金も必要です。カリキュラムや受講形式など、詳細をよく確認して自分に合ったところを見つけることが大切です。
人に会う
いわゆる「お勉強」からイメージされるような行動とは異なりますが、人に会うことも経営者が成長するために有効な手法の一つと言えます。例えば、自分が理想とする経営者像に近い他の企業の経営者、自身の企業が直面している課題に関して成功している経営者などに直接会って話を聞くことができれば、自身の成長に大きく役立つはずです。会うべき人は経営者だけとは限りません。自身が知りたい知識、身に付けたい要素などによって、誰に会うことが自分にとってプラスとなるのか、異なってくるでしょう。いろいろな人と話しをして交流を深めることは、知識を深めるだけではなく、ビジネスに役立つ人脈づくり、経営者として必要な人間形成にもきっとプラスとなるはずです。
経営者として経験を積む
当然ながら、日々の事業推進、自社が直面する課題の解決、組織づくりなど、経営者としての仕事そのものも経営者の成長には必要不可欠です。いわゆる「実践」ならではの悩みや試行錯誤は、書籍や座学からは得ることができない貴重な体験であり、糧となって蓄積していくことでしょう。漫然と決まったことを繰り返すのではなく、新たなことにチャレンジしたり、課題を見つけて解決に向けて動いたり、経営者として成長するという意識を持って行動することで、より一つ一つの経験が成長につながっていくはずです。
コーチングを受ける
多くの経営者が成長のために導入しているのが、コーチングです。コーチングの良い点は、これまで見てきたような自己分析、理想像の明確化、成長に向けた戦略、そしてそれらを実現するための読書やセミナー受講、経営者としての実践など、全てにおいてプラスの効果が期待できる点です。経営者に対するコーチングを専門としているコーチであれば、自己分析やゴールの明確化、成長に向けた行動の質を高めることができるほか、必要なことを後回しにせずスケジュールに沿って進める、行動の結果を都度振り返りフィードバックを受けるといったことが可能になります。忙しい経営者が自分一人で学び続け、方向を見誤らずに成長し続けるのは簡単ではありません。自身の成長全般に伴走してくれるプロのコーチの存在は、きっと大きな支えとなるはずです。セミナーやスクールと同様、コーチングも提供している会社・団体などによってさまざまな違いがあります。まずは体験してみて、自分にあったコーチを見つけることが重要です。
まとめ
変化が激しく、先が読めない今の時代。経営者も今の位置にとどまることなく、常に進化し、成長し続けなければなりません。
自分が理想とする経営者はどのような姿で、そして事業を通じて何を成し遂げたいのか。核となるその部分が明確になり、そして実際に行動に移すことができれば、目指すゴールに着実に近づくことができるはずです。経営者として組織をまとめ事業を牽引するためにも、自分自身の成長を意識し、常に行動をしていきましょう。
社長の悩みには、社長専門のコーチングを。
こんな悩みをお抱えの方にオススメ
- 未来のビジョンを明確にしたい!
- 経営課題と向き合い、優先順位を整理したい!
- 忙しさに追われ日々時間だけが過ぎていく…
- 経営についての悩みを専門家に聴いてほしい…
- コーチングに興味がある
まずは無料でコーチング体験