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コラム
リーダーシップ論とは?さまざまな考え方やリーダーのタイプ、獲得に向け必要な方法などを解説
「あの人はリーダーシップがある」と聞くと、どのような人物を思い浮かべるでしょうか。または、どのような能力が不足していると「あの人はリーダーシップが足りない」と言われるのでしょうか。
今、特にビジネスシーンにおいて、リーダーシップを発揮して企業を成長に導くトップの存在が求められています。そして、必要なリーダーシップとは具体的に何かを考える上で欠かせないのがリーダーシップ論です。
このコラムでは、リーダシップ論とは何か、さまざまなリーダーにはどのような特徴、タイプがあるのか、そしてリーダーシップを身に付けるためには何が必要なのかなどについて、詳しく解説します。
リーダーシップ論とは?
リーダーシップとは、一般的に「指導者としての資質・能力・力量・統率力」と定義されています(広辞苑より)。学校や企業・自治体といったさまざまな団体、政治や教育・スポーツなど、あらゆる組織・分野においてリーダーは存在し、そしてそのリーダーにはメンバーを率いる力が必要とされます。
リーダーシップ論とは、あるべきリーダーの姿や行動、メンバーとリーダーの関係性や置かれたシチュエーションなどに注目し、どのようなリーダーが組織を目標達成、理想の姿に導くのかを考える理論と言えます。
主なリーダーシップ論
多くの分野で活用され、リーダー育成などの基礎となっているリーダーシップ論ですが、その考え方やリーダーの姿を捉えるアプローチはさまざまです。
以下に代表的な理論を紹介します。
CONTENTS
- 1.特性理論
- 2.行動理論
- 3.SL理論
- 4.システム理論
特性理論
リーダーに求められる知識や性格、能力などの「特性」を重視し、優れたリーダーの特性を明確にしようとする理論です。特性理論では、リーダーシップを「生まれつき持っている資質」とみなし、リーダーに向いている特性を持つ人物を選出することを目的としています。
優れたリーダーとはどのような特性を持っている人物なのか、優れたリーダーとそうではない人物の違いは何かに注目して研究し、例えば「公正」「誠実」「忍耐」「社交性」など、リーダー足り得る人物が共通して持つ要素を解明しています。
しかし、そうした特性は抽象的であり、定量的に測定することが極めて困難です。また、生まれ持った資質という前提から再現性がなく、リーダー育成にも応用が難しいという問題がありました。
行動理論
特性理論の限界を踏まえて生まれたとも言えるのが、行動理論です。行動理論では、リーダーの行動やスタイルに焦点を当て、どのような行動が効果的なリーダーシップを生むかを研究するものです。生まれ持っての素質ではなく、実際の行動に注目するという点で、特性理論よりも具体的で、リーダーの育成にも活用しやすいという利点があります。
行動理論は具体的な行動の分類や整理の仕方にいくつかの種類があります。
例えば「PM理論」では、リーダーの「目標達成能力(Performance)」と「集団の維持能力(Maintenance)」を見てリーダーを分類します。pM型は集団を維持・強化する能力は高いが、目標を達成する能力が弱いリーダー、 Pm型は目標を達成する能力は高いが、集団を維持・強化する能力が弱いリーダーです。
ほかにも、「人間に対する関心」と「業績に対する関心」に焦点をあてリーダーのスタイルを分類するマネジリアル・グリッド論などがあります。
SL理論
SL(Situational Leadership)理論は、リーダーシップの効果は状況によって異なり、組織メンバーの習熟度やタイプによって適切なリーダシップのありようが変わるとする考え方で、状況対応型リーダーシップとも呼ばれます。
SL理論では、成熟度によって組織(メンバー)を4つの段階に分類します。もっとも成熟度が低い業務未経験の新入社員や、スキルも意欲もないメンバーと、高い能力で自主的に考え行動できるメンバーでは、それぞれに対してリーダーが取るべきアプローチも異なるはずです。具体的な状況を見た上で、いつ何をするべきかを細かく伝える「指示的行動」と、部下の声に耳を傾け行動を見守り励ます「援助型行動」とを組み合わせながら、その組織やメンバーが最大の成果を発揮できるような最適なリーダーシップの在り方を考えるのがSL理論です。
システム理論
システム理論では組織を「システム」と捉えます。リーダーがどの程度部下を信頼しているか、組織の課題解決や意思決定に対し部下は参画しているか、仕事をやる気にさせる動機は何かなどの軸から「独善的・専制型」、「温情的・専制型」、「協調的・相談型」、「集団参画・民主型」(呼び方は異なる場合があります)といった4つのシステムに分類し、リーダーとメンバーがどのような関係にあり、どのようなコミュニケーションをとっているシステムが最もうまく機能するかを考察します。研究によると、リーダーが部下を全面的に信頼し、意思決定にも部下の意見を積極的に取り入れ、メンバーが責任感を持って行動する「集団参画・民主型」が最も生産性が高いシステムだという結果だと言われています。
※※※
ここにご紹介したのは、数あるリーダー論の一部にすぎません。このほかにも、リーダーのあり方を模索する理論は多数存在し、それぞれ異なる視点を提供しています。そして、リーダーシップの理解を深めるためのフレームワークとして育成などに活用されています。
リーダーのタイプにはどのような種類があるか
リーダーの存在は歴史の中で常に必要とされてきましたが、力を発揮し成果を出したリーダーの在り方はさまざまで、全てが同じタイプとは限りません。分類の仕方も研究などによって異なりますが、以下に、主なリーダーのタイプをご紹介します。
CONTENTS
- 1.専制型
- 2.放任型
- 3.民主型
- 4.コーチ型
- 5.変革型
専制型
部下の行動を監視し細かく指示を与えるタイプのリーダーです。リーダーは強い権力を持ち、全ての意思決定はリーダーが下し、メンバーの意見が取り入れられることはほとんどありません。頼りになり、短期間で強いリーダーシップが求められる際に効果を発揮することがありますが、メンバーが萎縮する、メンバーの成長を阻害するといったデメリットも考えられます。
放任型
部下に仕事の権限の多くを委譲し、部下の判断や自主的な行動に任せるタイプのリーダーです。経験が豊富でスキルが高いメンバーがそろっている組織の場合は、部下は自由に力を発揮することができ、モチベーション高く仕事に臨める可能性があります。しかし、組織として目指す方向性が統一されていなかったり、リーダーの期待値がうまく伝わっていなかったりすると、逆に生産性を下げてしまう懸念もあります。
民主型
民主型のリーダーは、部下の意見を積極的に取り入れ、全体の合意形成を重要視します。意思決定をする際に意見やフィードバックを求めることから、メンバーは自分たちの声が取り入れられているという満足感を得やすく、まさに民主的な組織運営が可能となります。しかし合意形成に時間やコストがかかり、スピード感を損なうというデメリットが考えられます。
コーチ型
メンバーと一対一で対話する時間を作り、それぞれの強みや弱みを把握した上で成長を促すスタイルです。リーダーとメンバーが目標や課題を共有し、リーダーはメンバーに常にフィードバックしながらゴールに向かって伴走します。きめ細かい進捗管理やメンバーの育成が可能となる一方で、非常に手間がかかるため、忙しく時間が取れないリーダーの場合は実践が容易ではありません。
変革型
メンバーの行動変容を促し、組織を大きく変革に導くリーダーです。強いメッセージを発して変化の必要性を説き、新しい価値観を伝えることに長けていることから、例えば変革が必要な古い企業や危機的な状況に陥っている組織に向いていると考えられます。しかし、丁寧なコミュニケーションを怠るとメンバーから反発を受けたり、時に日本の企業風土にマッチしなかったりする可能性もあります。
※※
ここに挙げたリーダーのタイプも、リーダー論と同じく全てではありません。メンバーの成熟度や組織が置かれている状況、企業が目指すべき方向性やフォロワーのタイプなどによって適したリーダーの姿は異なってくると言えるでしょう。
リーダーシップを身に付けるためには何が必要か
ここまで、主なリーダーシップ論とリーダーのタイプをご紹介してきました。それでは、どのようなことを実践すれば、リーダーシップを身に付けることができるのでしょうか。リーダーシップを身に付けるための方法を一例としてご紹介します。
CONTENTS
- 1.自己分析をする
- 2.目指すリーダー像を明確にする
- 3.リーダーシップ獲得のための学習をする
- 4.他者からのサポートを受ける
自己分析をする
まずは、自分の価値観やリーダーとしての行動、メンバーとの関係などを冷静に俯瞰してみましょう。同僚や上司、部下からフィードバックを受けたり、自己分析ツールなどを使って自分の強みや弱みを把握し、伸ばすべきところ、改善すべきところを把握することが大切です。
目指すリーダー像を明確にする
自己のリーダーとしての現在のありようを把握できたら、目指すリーダー像を明確にする必要があります。お伝えしたように、リーダーのタイプは一つではありません。今組織が置かれている状況、自分の部下の様子、企業として早急に解決すべき課題があるかどうかなどによっても、適したリーダーシップのあり方は変わって来るかもしれません。こうなりたいという目指すリーダー像を明らかにした上で、自己分析によって把握した現在の自分と比較し、身に付けるべき具体的なリーダーシップを理解しましょう。
リーダーシップ獲得のための学習をする
現在の自分を把握し、目指すべきリーダー像に対して不足している要素を理解したら、実際にそれらを身に付けていきましょう。すぐに取り掛かれる方法としては、自ら学習する方法があります。オーソドックスではありますが、リーダーシップに関する書籍を読んだり、オンラインコースを受講したりして、理論などを学ぶことも一つの方法です。また、専門家によるワークショップやセミナーに参加して、実践的なスキルを学習することも有効でしょう。
実践を通じて経験を積む
理論を理解した上で実際にリーダーとしての経験を積むことは、リーダーシップを身に付ける上で大きな効果を発揮すると言えます。すでに組織のトップなどリーダーとしての立ち位置にある人は、日々の発言や行動で目指すリーダーとしての振る舞いを実践することが可能です。そうではない人は、例えばプロジェクトやチームなど小さな単位からリーダーの役割を担い、実際にリーダーシップを発揮する機会を持つことがおすすめです。
他者からのサポートを受ける
自分一人でリーダーシップを身に付けるのは、難しいことも多いはずです。他者からのサポート、特にプロフェッショナルな外部の力を借りることができれば、リーダーシップの獲得に大きく前進するはずです。例えば経験豊富なリーダーにメンターとなってもらい、指導を受けることも一つの方法ですし、専門のコーチを依頼してコーチングを受けることも有効です。特にビジネス分野の育成に特化したコーチングは、自分一人で行うよりもより質の高い自己分析や目標の明確化が期待できる上、都度フィードバックを受けることで進捗を確認しながら課題を解決していくことが可能です。次の項目で詳しく解説します。
リーダーシップ獲得にコーチングが有効な理由とは
もともと多くの人材育成で活用されているコーチングは、リーダーシップを身に付けるための手法の一つとして、いくつかの点で他の手法よりも優れていると言えます。以下にその特徴を挙げます。
CONTENTS
- 1.より質の高い自己分析と目標の明確化ができる
- 2.一対一の個別対応で伴走してもらうことができる
- 3.定期的なフィードバックを受け進捗管理ができる
- 4.安心して目標を目指すことができる
より質の高い自己分析と目標の明確化ができる
コーチングは質問を中心としたアプローチを行います。コーチはあらゆる角度から依頼者に問いかけ、依頼者はそれに答えることで、自分の価値観や課題に自ら気が付いていきます。コーチングを活用することで、自分の姿を明らかにした上で、目先のゴールだけではなく、本来目指したいリーダーとしての姿を明確にしていくことが期待できます。
一対一の個別対応で伴走してもらうことができる
コーチングの基本は、一対一のコミュニケーションです。集団で一斉に一般的な理論やスキルを学ぶやり方とは異なり、その人個人に特化した課題を解決し、ニーズや目標に応じたアプローチが可能です。また、コーチングは1回で終わりではなく定期的に行われることが一般的です。リーダーとしての成長に向けて、中長期で伴走してくれる相手を得て、常にサポートを受けられる環境を整えることができるはずです。
定期的なフィードバックを受け進捗管理ができる
お伝えしたように、コーチングは一回受けて終わりではなく、中長期で定期的に実践することが一般的です。目標に向けたタスクの進み具合はどうなっているか、やってみた結果はどうだったかを都度振り返り、適切なフィードバックを受けながら着実にリーダーとして成長していくことが期待できます。大事だとわかっていてもつい後回しになりがちなリーダーとしての学びや実践についても、定期的な進捗報告の場が設定されることによって、着実に実行に移すことが可能となります。
安心して目標を目指すことができる
中長期で伴走してくれるコーチは、リーダーにとって心のうちを安心して話すことができる、信頼できる相談相手でもあります。リーダーとして成長する過程においては、ストレスフルな出来事が起きたり将来に対する不安を抱いたり、また大きな失敗をして落ち込んだり、よくない時期も必ず訪れるはずです。コーチという心強い存在がいれば、そうしたストレスや不安を軽減し、安心してリーダーシップの獲得に向けた挑戦をすることができます。
まとめ
企業の持続的な成長に欠かせない、リーダーシップ。その考え方や、理想とされるリーダーの姿は、さまざまです。自分自身の強みや弱みや大切にしている価値観、組織が置かれている状況やメンバーの様子をよく確認し、求められるリーダー像を明確にした上でリーダーシップを発揮していくことが大切です。
また、リーダーシップは、すぐに獲得できるものではありません。効果的な方法を見つけて、長い目で着実に理想のリーダーに近づいていきましょう。
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