コーチング
コラム
経営幹部育成にコーチングが有効な理由とは? 中小企業の経営者が「右腕」、「後継者」を育てるために何が必要か

信頼できる経営幹部や後継者を育てたい──そう考えながらも、育成がうまくいかない、何から手をつければ良いのか分からない、と悩む経営者は少なくありません。今、この経営幹部の育成に有効な手法の一つとして、コーチングが大きな注目を集めています。
本記事では、経営幹部の育成がなぜ重要なのか、経営幹部の育成方法にはどのようなやり方があるのか、そして手法の一つであるエグゼクティブコーチングが、どのような点で育成にメリットがあるのかについて解説します。
経営幹部の育成が必要な理由

最初に、育成にコーチングが有効な理由を紹介する前に、そもそも経営幹部の育成がなぜ必要なのか、その理由を見てみましょう。
人材育成、特に経営幹部の育成は、企業の成長を左右する重要事項の一つと言えます。
経営幹部の育成が求められる理由としてはさまざまな点が挙げられますが、主なものとして次のことが考えられます。
CONTENTS
- 1.トップ一人だけの経営の限界
- 2.判断・意思決定のスピードが落ちる
- 3.判断・意思決定のスピードが落ちる
トップ一人だけの経営の限界
創業期や事業規模が小さかったときは、トップがすべての判断を行う「ワンマン経営」でもなんとかなってきた、という企業もあるかもしれません。しかし組織が拡大し、事業の複雑性が増すにつれて、一人のトップが全てを判断する体制に限界が訪れます。背景には以下のようなことが考えられます。
- ・組織や事業の規模が拡大するにつれて、目が行き届かなくなる
- ・携わる領域が多岐に渡ると、一人で全てのスペシャリストとなるのは困難
- ・自身の成功体験や経験に捉われ、多角的な視点を持つことが難しくなる
- ・業務負荷が増大し、対応しきれなくなる
信頼できる「右腕」を育て、ある程度の領域を任せる体制を取ることができなければ、その企業の成長はある時点でストップしてしまうでしょう。「一人で見られる範囲以上に会社を大きくするつもりはない」と考えている場合を除き、経営幹部の育成は企業の成長にとって必要不可欠です。
後継者不足による事業承継のリスク
幹部育成が必要なもうひとつの理由は、事業承継の問題です。2024年度の中小企業白書によれば、中小企業の後継者不在率は、2018年以降減少傾向にあるものの、2023年時点でも54.5%・半数以上の企業で後継者が不在の状況となっています。
仮に、後継者が不在のまま経営者が経営を続けられない状況が突如発生してしまうと、意思決定の空白による事業停滞、経営ノウハウが失われるといった懸念があります。最悪、事業を続けることができなくなるかもしれません。社員からすると、例えば後継者が育たずに老齢のワンマン社長がいつまでも実権を握っている場合、「この会社の将来が見えない」と感じてしまうかもしれません。そうした不安の蔓延は、人材流出にも繋がります。
判断・意思決定のスピードが落ちる
前述の「トップ一人だけの経営の限界」とも通じる問題ですが、組織や事業の規模が大きくなると、考えるべき事柄が増えることによって、一人だけでは判断・意思決定のスピードが落ちてしまいます。
変化の激しい時代において、スピードの欠如は致命的です。トップ一人の対応を待っている間に次々と状況は変化し、チャンスを逃したり、問題が拡大したりしてしまいます。
経営幹部として活躍するためには何が必要か

経営者の右腕や後継者候補となる経営幹部を育てるためには、何が必要となるのでしょうか。
会社としての考え方や体制によっても、具体的に身に付けるべきスキルは異なりますが、経営を支える一員として、以下のような要素が育成には必要だと考えられます。
CONTENTS
- 1.理念やビジョンを共有する
- 2.経営視点・経営者思考を養う
- 3.戦略・財務などの基礎知識を身に付ける
- 4.経験を積む機会を設ける
理念やビジョンを共有する
経営幹部として十分な能力を兼ね備えていても、企業が何のために事業を行うのか、何を実現したいのか、などの理念やビジョンを納得できなければ、その企業で力を発揮することはできません。
自社の経営幹部として同じゴールを目指せるよう、まずは理念やビジョンを深く共有することが重要です。
経営視点・経営者思考を養う
経営幹部として事業の一端を担うためには、従業員のときとは異なるものの見方や考え方が必要になります。
外部の経営幹部をスカウトするケースではなく、長年その会社で働いてきた人を育成する場合、特に「現場の視点」から抜け出しにくい傾向があります。優秀なイチ従業員に求められるものと、経営幹部として求められるものには明確な違いがあることを認識できるよう、意図的に「視座を上げる」機会をつくる必要があります。
戦略・財務などの基礎知識を身に付ける
経営幹部を育成するためには、戦略・財務・組織運営などの基礎知識を学ぶ教育も欠かせません。
経営幹部に必要とされる知識やスキルの一部は、全ての領域においてスペシャリストとならなくても、複数の幹部とチームとしてその分野における知見を持っておけば問題ないものもあるでしょう。
しかし、「全く知らない」では経営判断を任せることはできないものがほとんどです。ある一定レベル以上は知識を身に付け、「この分野は特に優れている」と言える強みを持つと、経営に参画した際に、右腕として経営者を支え、力を発揮できるでしょう。
経験を積む機会を設ける
これまで挙げたような経営視点や知識の習得は、「経験を積む」ことが重要です。例えば新規事業を任せる、小さくても予算を持たせる、組織課題の改善プロジェクトをリードさせる
など、実際に人・モノ・金を動かす権限を与え、「経営の一部」を担当させることで、大きく成長することが期待できます。
ただし実務に任せる際は、 「丸投げ」ではなく期待値と責任範囲を明確に伝え、伴走者をつけ、フィードバックや軌道修正を常に意識しながら進めましょう。また、失敗も大きな学びの一つです。最初は失敗しても許容できる範囲の規模の小さなものから経験させて、徐々に責任の大きなものを任せていくこともポイントになります。
経営幹部育成にコーチングを活用するメリット

お伝えしてきたように、企業の成長には経営幹部の育成が必須となりますが、人材育成、特に幹部の育成を自分たちだけで実施するのは、簡単ではありません。そこで最近注目を集めているのが、コーチングの活用です。コーチングは単なる知識や考え方を習得する研修やセミナーとは異なり、本人の内面・思考・行動様式にアプローチして、育成対象者に中長期でコーチが伴走し成長を支援するのが特徴です。
以下では、幹部の育成にコーチングを活用することで得られる具体的なメリットを解説します。
CONTENTS
- 1.思考の癖や課題を「見える化」する
- 2.経験や学びの進捗を都度確認できる
- 3.主体的な成長を促すことができる
- 4.経営者と幹部候補者の目線が揃う
思考の癖や課題を「見える化」する
経営幹部として成長するためには、自分の「思考の癖」や「良くない行動パターン」を可視化し、あるべき姿と乖離した解決すべきポイントを明確にする必要があります。
例えば、
- ・組織や部下に仕事を任せることができず、全てに対して自分が手を動かしてしまう
- ・全社視点が持てず、部署最適に偏る
- ・判断の軸が曖昧で、決断のスピードが遅い
こうした思考の癖や行動パターンは、自分一人ではなかなか気がつきにくいものです。
コーチングでは、コーチからの問いに対して育成対象者が回答することで、その人自身が自分の内面を言語化し、整理できるようサポートします。
また、コーチングは1回で終わりではなく、定期的にセッションを繰り返し、その内容を毎回記録に残していきます。ある程度時期がたって改めて振り返りをすることで、自分の考え方の癖や、問題が起きたときにやりがちな行動などを、客観的に見ることができるようになるでしょう。
これにより、経営者に「ここを直した方がいい」と言われるのではなく、本人が自ら課題を認識できるようになり、課題克服に向けて自ら動くことができるようになります。
経験や学びの進捗を都度確認できる
コーチングでは、目標を明確にし、そこに向けた現在の課題、課題解決のために実践すること、実践のスケジュールなどをコーチと一緒に組み立てていきます。
コーチングの良い点は、実際にやってみてどうだったか、何が良かった点で何が悪かった点なのか、目標に向けた進捗はどうかなどを毎回確認することができる点です。
目先の業務に追われていると、「経営幹部として成長する」といった中長期の目標に向けた行動は後回しにされがちです。定期的にコーチとセッションする時間を設定することで、確実にゴールに向けて進むことが可能となります。
主体的な成長を促すことができる
コーチングの特徴は、「その人自身の中に答えがある」という考え方のもと、本人が目標やそこに向けた課題を認識し、自らが解決策を考え行動できるよう促す点です。真の答えにたどり着くために、多角的な視点を与えたり、何度も質問を重ねて考えを深堀させたり、コーチはサポートをするものの、答えを与えることはしません。具体的な解決策を立案するコンサルタントとの大きな違いと言えるでしょう。
そのため、コーチングにおいて目標ややるべきことを考え言葉にするのは、「コーチ」ではなく育成対象者「本人」です。自らたどり着いた答えであるからこそ、高い意欲を持って、自主的に成長に向けて行動を続けることが期待できます。
経営者と幹部候補者の目線が揃う
育成対象者だけではなく、経営者自らもコーチとコミュニケーションを取ることで、経営者と幹部候補者の目線を揃えることも期待ができます。
例えば、理念やビジョンをずれなく浸透させることは、簡単ではありません。コーチングは、このギャップを埋める機能を果たします。
さらに、経営者が育成の進捗を確認することも可能になります。情報共有を密にすることで、経験を積ませたり、後継指名の判断をしたりする後押しとなります。
コーチングを受ける際の注意点

コーチングは幹部育成に非常に効果的な手段ですが、導入するタイミングやコーチの特性によっては、成果が出ない可能性もあります。
ここでは、コーチングを導入する際に注意すべきポイントを整理します。
CONTENTS
-
- 1.本人の成長意欲を芽生えさせる
- 2.コーチの実績や専門分野を見極める
- 3.サービス内容や料金を確認する
本人の成長意欲を芽生えさせる
お伝えしたように、コーチングの基本は「本人の中に答えがある」という考え方による成長支援です。そもそも本人が成長したいと思っていない、会社に対してネガティブな感情が大きくなっている、という状態でコーチングを導入しても、思うような効果を得ることができません。
まずは経営者自ら期待値を伝え、経営を担う一員となるために成長しようという意欲を本人の中に芽生えさせることが必要です。
コーチの実績や専門分野を見極める
コーチングサービスを提供する組織・会社にはさまざまなものがあり、また、個人として活動しているコーチも多数います。民間団体が運営している資格制度もありますが、特にそうした資格を持っていなくても「コーチ」と名乗ってコーチングを行うことは誰でも可能です。
そのため、幹部育成のためにコーチングを依頼する際には、経営者・幹部クラスを対象にした実績があるか、ビジネスに理解があるか、守秘義務や倫理観が徹底されているかなどを確認することが重要です。
また、サービスによっては無料体験などの制度を設けているところもあるので、実際にコーチングを受けてみて、コーチとの相性などを確認することも有効でしょう。
サービス内容や料金を確認する
前述したようにさまざまなコーチングを提供する組織・会社があり、提供しているサービス内容や料金もそれぞれ異なります。
電話やメールでの相談やレポート提供の有無、ひと月に依頼できるセッションの数、オンラインでのセッション可否など、具体的なサービス内容を確認しましょう。
また、費用がかさみすぎても、サービスを受け続けることが難しくなってしまいます。幹部育成は短期間では成果を出すことができません。無理なく続けることができるか、料金も必ず確認しましょう。
まとめ

経営者が企業を成長させるためには、自身と同じ視座で議論し意思決定を支える「右腕」、そして安心して事業を引き継ぐことができる「後継者」、すなわち経営幹部の育成が不可欠です。
経営幹部の育成は、時間も手間もかかる取り組みですが、中長期的には企業の未来を左右する投資です。コーチングを上手く活用して育成に取り組み、信頼できる幹部を得て、ビジネスをより一層成長させていきましょう。
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