コーチング
コラム
コーチングって怪しいのでは…?懸念を抱かれる理由、良いコーチを見極めるポイントなどについて、詳しく解説
「コーチング」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。日本でも徐々に、ビジネスの世界を中心に広がりつつあるコーチング。一度は名前を耳にしたことがある、という人も少なくないことでしょう。
しかし、コーチングとは具体的にどのようなものなのか、受けたことがない人にとってはなかなかその実体を掴みにくい面もあります。偏った評判をもとに「コーチングって怪しいのでは…?」と感じてしまうこともあるかもしれません。
確かに、コーチングに対する需要が急速に増えつつある現在、コーチングを提供している組織・団体が多数登場し、コーチングの質やサービス内容、考え方にもさまざまな違いがあります。また多くの個人がコーチを名乗って活動しており、その全てが優れたコーチングを提供しているとは限りません。質の悪いコーチングを受けた方による悪い評判を元に、コーチングは怪しい、意味がない等といった認識が一部に広がってしまう可能性も否定できないでしょう。
しかし、そうした一部の見方を元にコーチングは怪しいものと判断してしまうのは、早計です。世界中の名だたる企業・経営者が取り入れているコーチングについて正しく理解せず、偏った情報をもとに自分には不要と受け止めてしまうのは非常にもったいないからです。
コーチングが時に怪しいと言われてしまうのはなぜなのか、そして、本来のコーチングとは一体どのようなものなのか、質の高いコーチを見極め、自分に合ったコーチングを受けるためにはどうしたら良いのか、本コラムではそれぞれ、詳しく解説します。
「コーチングは怪しい」と言われてしまう理由とは
コーチングとは、一体どんな目的で、どのようなことを行うものなのでしょうか。実際にコーチングを受けたことがない人にとっては、なかなか具体的なイメージが掴みづらいところがあると思います。実体がよくわからないまま初めてコーチングについて耳にした人の中には、「なんだか怪しいのでは…?」と感じてしまう人もいるかもしれません。
また、前述したように、コーチングのサービスを提供している組織や個人は多数あり、やり方や内容が全て同じというわけではありません。自分に合わないコーチングを受けた人による感想やコーチングに対する悪い見方がもとになって、コーチングに対するマイナスの意見が出てしまう可能性もあります。
コーチングが疑念を抱かれてしまう主な理由としては、以下が考えられます。
CONTENTS
- 1.コーチングについてよく知らない、そもそもの誤解がある
- 2.効果に対して懐疑的な見方をされている
- 3.実績がなくてもコーチとして活動できる
- 4.強引に契約をすすめられる
コーチングについてよく知らない、そもそもの誤解がある
「現状を整理し、解決すべき課題を発見できる」「目標を明確にして、ゴールに向けて行動できる」「客観的に自分を見つめ直し、ビジネスパーソンとして成長できる」…ビジネスシーンや人生設計におけるコーチングの効果は、さまざまなものがよく挙げられています。
これらはコーチングを受ける人の未来を左右する大切な要素です。当然ながら、こうしたことを一つひとつ実現するのは、簡単ではありません。コーチングとは一体どのような手法でどんなことをするのか、実際に受けたことがない人は、「話をするだけでそんなことが可能なのか?」と疑問を持ってしまうことがよくあります。
中には、「たった一回で人生が激変する」といったような、大げさな効果を謳うものや、コーチングを受けさえすれば、あたかも人生のあらゆる悩みが即座に解決するかのような宣伝をしているものもあります。
そうしたコーチングの記述を目にして、「胡散臭い…」と感じてしまったり、中にはコーチングはスピリチュアルなものや、根拠のない非科学的なものと勘違いしてしまうケースもあるようです。
効果に対して懐疑的な見方をされている
実際にコーチングを受けてみて、「効果がない」「胡散臭い」などと感じてしまう人もいます。
よくあるのは、経験が浅くコーチングスキルが乏しいコーチによるコーチングを受けた場合です。会話を主体としてすすめるコーチングでは、コーチがさまざまな手法やスキルを使いこなす必要があります。また、相手に沿った対応をするために質の高いコーチングを実施するためには、コーチに一定の経験も求められます。コーチング経験に乏しい、いわゆる質の低いコーチによるコーチングを受けると、「コーチングは効果がない、意味がない」という感想を持ってしまうことになります。
また、コーチングは、依頼者の中に答えがあるという考え方に沿って、相手の可能性を引き出すものです。具体的なアドバイスや提案が欲しい人、ティーチングを望む人にとっても、コーチングは求めているものと違うと感じてしまうことでしょう。
さらには、1〜2回で短期的に大きな変化を生み出したい人や、「全てコーチにお任せ」と考え、自分の成長や変化に主体的に取り組む姿勢がない人にとっても、コーチングはあまり効果を発揮できません。
そうした人たちによるコーチングに対する感想などを見て、コーチングは怪しいというイメージを持ってしまう可能性もあるでしょう。
実績がなくてもコーチとして活動できる
コーチングを行うコーチは、特に名乗るために必要な資格などはありません(民間団体が実施している任意の資格は存在します)。その人が「私はコーチングができます」と言ってしまえば、特に経験がなくても、具体的なスキルを身に付けていなくても、コーチとして活動することができてしまうのです。
そのような「自称コーチ」に、コーチングにはどのような効果があるのか、なぜそうした効果があると言えるのかを聞いても、説得力のある答えは返ってこないでしょう。もちろん、実際にその人のコーチングを受けても、プラスの効果はあまり期待できません。
また、実績やスキルがないままコーチを名乗る人のプロフィールや経歴を見て、「コーチングって信用できないな」と感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
強引に契約をすすめられる
残念なことに、一部ではありますが、依頼者がコーチングを必要としているかどうかわからないにも関わらず、強引にコーチングの契約を勧められ、不快な思いをしたという声もあります。
しっかりとしたコーチングは確かに効果が期待できるものではありますが、その人自身が主体的にコーチングを取り入れる準備ができていなければ、無理やり行っても意味がありません。また、コーチングを受けるには費用も必要になります。実際に受けてみた感触やコーチとの相性など、いろいろなことを確認してから判断したいと考えるのは、当然のことでしょう。それにも関わらず、強引に契約をすすめられた経験がある人が、「押し売りみたいで怪しい」と感じてしまうのは、無理のないことと言えるでしょう。
実際のコーチングとはどのようなものなのか?
それでは、実際のコーチングとは、一体どのようなものなのでしょうか。
「コーチング」とは、コミュニケーションの手法のひとつで、一般には、その人本来が持つ力を引き出し、成長を促すための人材開発を意味する言葉として用いられています。
コーチングは通常、依頼主とコーチの1対1で話しをすることですすめます。コーチは相手に対してあらゆる角度から質問を投げかけ、答えを促します。あなたの目標とする世界はどのようなものか、達成のための課題はなにか、解決するために何が必要か、なぜそう思うのか、他の手法はないのか…問いかけを重ねるのが一般的です。
コーチは、単に気になることを順番に質問しているのではありません。コーチングの効果を最大限に発揮するため、研究された手法に基づいて、さまざまなスキルや技術を駆使しています。そうすることで、依頼主が本来持つ可能性や能力を引き出し、成長に導いているのです。
また、コーチングには、対象とする内容、依頼主の属性などによってさまざまな種類があります(※分類の仕方は組織、団体によって異なります)。
CONTENTS
- 1.ライフコーチング
- 2.スポーツコーチング
- 3.ビジネスコーチング
- 4.エグゼクティブコーチング
ライフコーチング
個人の人生設計に焦点をあてたもので、依頼主が理想とする人生を歩むためのサポートを行うコーチングです。
スポーツコーチング
依頼主が携わっているスポーツ種目において、パフォーマンスを最大限に引き出すことを目的としたコーチングです(ここでは、競技のやり方そのものを指導するいわゆる「コーチ」とは異なるものとして紹介しています)。
ビジネスコーチング
ビジネスシーンにおいて、社員の成長や事業推進を目的に行われるコーチングです。日本でも、人材育成、人的資本管理の一貫としてビジネスコーチングコーチングを導入する企業が増えています。
エグゼクティブコーチング
企業経営者などのエグゼクティブ層を対象としたコーチングです。仕事に限らず、依頼者個人の家族や趣味といったプライベートについてもコーチングに含む場合もありますが、仕事の話題に特化したビジネスコーチングの一つに分類されることもあります。
欧米ではビジネスコーチングが定着、当たり前の手法の一つに
日本ではまだまだ歴史が浅いコーチングですが、「コーチ」という言葉は古くからあり、欧米では人々の間に定着していると言えるでしょう。コーチング発祥の経緯については諸説ありますが、1970年〜80年代ごろにアメリカで広がったとされています。
10年以上前の2012年のCNNの記事では、「英国のリーダーシップ・マネジメント研究所(ILM)が最近、国内企業250社を対象に実施した調査によると、コーチングの手法を使っている、または使ったことがある企業は全体の80%を占め、さらに今後使う予定だと答えた企業も9%に上った」と、イギリスにおけるコーチングの高い普及率を紹介しています。
例えばGoogleやAmazonといった名だたる世界的企業も、人材育成やリーダーシップ養成に関して、コーチングの重要性を説いていています。欧米のビジネスシーンでは、多くの企業がコーチングを取り入れており、コーチングが当たり前の手法として根付いていると言えるでしょう。
欧米では、ビジネスコーチングに限らず、ライフコーチングの利用も広がっています。国際コーチング連盟(ICF)のライフコーチングに関する調査によると、過去にコーチを利用したことがある人は43%にのぼり、一度もコーチを利用したことがない人のうち22%が、将来ライフコーチングを利用する可能性が高いと答えています。
一方で、日本でもコーチングを導入している企業が増えていると考えられます。マネジメントにコーチングの手法を研修などで身に付けさせ、部下との1on1にコーチングを取り入れたり、企業代表がエグゼクティブコーチングを受けたりしているという企業は数多くあります。特定のサービスによらない日本の企業全体のコーチング導入数を調べた統計などがあるかは不明ですが、今後もさらにコーチングの活用が広がるものと見られます。
このように海外では当たり前になりつつあり、日本でも徐々に広がりを見せるコーチング。効果のはっきりしない怪しげなものではなく、しっかりとしたコーチングサービスを選ぶことが重要です。
怪しいコーチングではないか、どうやって見極める?
それでは、効果が期待できる質の高いコーチング、自分に合ったコーチを見つけるには、どうすればよいのでしょうか。うっかりと怪しいコーチングと契約してしまい、後悔しないためにも、見極めるために確認すべき主なポイントをご紹介します。
CONTENTS
- 1.実績や利用者の声を確認する
- 2.対象としているコーチングの種類、考え方を確認する
- 3.サービス内容を確認する
- 4.実際に会って相性を確認する
実績や利用者の声を確認する
コーチのスキルを推し量るために、どの程度のコーチング経験があるかどうか、実績を確認しましょう。実際にそのコーチのコーチングを受けた人の感想やレビューがあれば、なおイメージが掴みやすいはずです。また、個人ではなくコーチングサービスを提供している組織や団体との契約を検討している場合も、多くの場合、公式サイトなどに実績や導入例が掲載されているので、目を通すことをおすすめします。
対象としているコーチングの種類、考え方を確認する
お伝えしたように、コーチングにはさまざまな種類があります。コーチ個人や提供元の組織・団体によって、得意とする専門性がある場合も多いため、自分がコーチングを受ける目的にあったところを選びましょう。また、基本的には問いかけを通じて相手の可能性を引き出すのがコーチングですが、コーチによっては時にアドバイスを混ぜるなど、具体的な手法に違いがある場合もあります。それぞれのコーチングに対する考え方なども合わせて確認できれば安心です。
サービス内容を確認する
ほかと比べてあまりにも高い、また逆に安すぎる、といった場合は注意が必要です。高額な場合はそれに見合った実績や回数やオプションなどのサービス内容が見合うものかどうか、また合わせて継続して利用が可能かどうかを確認しましょう。また、あまりに安すぎる場合も、例えばほとんど経験のないコーチが実績づくりのために依頼主を探しているなど、何か理由があるはずです。なぜ、その値段設定なのか、妥当な金額設定かどうか、サービス内容をチェックしましょう。
実際に会って相性を確認する
やはり、一番安心できるのは、実際に契約をする前にコーチングをお試しで体験することです。怪しいのではと疑問に思う点があれば、実際に質問して直接サービスの詳細や考え方を聞くことができますし、しっかりとしたコーチでも、相性が合う・合わないは会って話しをしてみないとわからないところもあります。
特に相性は重要で、コーチによって温和な雰囲気、聡明で時に厳しい雰囲気など、いろいろなタイプがあります。なんとなく人間的に苦手、というコーチ相手だと、定期的にじっくりと1対1で話しをするのが逆にストレスになってしまいます。サービスの提供元によって、無料体験などの仕組みを設けているところも多いので、可能な場合は、一度受けてみてから、契約するかどうかを判断しましょう。
まとめ
欧米では、すっかり定着していると言っても過言ではないコーチング。実際に受けたことがない人、周囲に信頼できる経験者がいない人にとっては、「もしかしたら怪しいのでは…?」と感じてしまうことも多いでしょう。
しかし、特にビジネスシーンにおいて、人材育成や事業の推進のために、日本でも多くの企業がコーチングを導入し始めています。
効果が期待できるコーチングを受けるためにも、怪しいところかどうかをしっかりと見極め、自分に合ったサービスを選びましょう。
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